相手を上手に口説くための恋愛心理アドバイス

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彼の関心を引く。

ギリシャの哲学者アリストテレスが、ある娼婦から質問を受けたそうです。「私の肉体を最上のものとして、お客さまに喜んでもらうには、どうしたらいいでしょうか」

さて、この哲学者は何と答えたか。「客が求めるときには応じるな。ちょっと間を置いてから(肉体を)与えなさい」と、即座に答えたといいます。

人と人とが知り合い、仲良くなり、しだいに相互信頼感が成立していく過程には一つのパターンがあります。

私たちは日常的に、他人に何かを頼んだり、また他人から頼まれたものに対して即座に応えたりすることを繰り返して、互いに親しみを深めていきます。

「洋服買いたいから買物につきあって」「いいよ」というような、なんでもない会話でも、繰り返すことで効果はあらわれます。

誘われたら、ちょっと渋ってOKする

たとえが古くて恐縮ですが、銭形平次と子分の八五郎のように、「おうっ、八五郎、大井の 宿まで、ひとっ走り行ってくれ」「へい、がってんだ!」間髪を入れずに、こんな会話が成立するぐらいの信頼感があれば、物事はすべてうまくいくでしょう。

依頼されて即座にOKするこんなやりとりは、お互いの親密度をあらわしてもいます。ところが、これが日常的になって、平次が八五郎のありがたみを忘れてしまったらどうでしょう。八五郎も不本意なはずです。

こんな場合は、ときどき、違うセリフを言ってみるのもいいかもしれません。「おうっ、八五郎、大井の宿まで、ひとっ走り行ってくれ」「えーっこれからですかい。今日は忙しいんだけれども……ええい、他ならぬ平次親分の頼みだ、ひとっ走り行ってくらあ」

たとえば、もしも八五郎がこんなふうに答えたら、平次は、あらためて八五郎のありがたみを思い出すのではないでしょうか。そして、自分の依頼を最優先してくれる八五郎を信頼する気持ちを新たにすることでしょう。

恋愛の場面でも、同じことがいえます。なにかを頼まれたり誘われたとき、「待ってました」とばかりに快諾するだけでは芸がありません。

快諾するにしてもひと工夫がほしい

こんなとき、相手をちょっと動揺させてから快諾すれば、相手の喜びはより、大きくなるというのが、冒頭のアリストテレスの恋愛アドバイスなのです。

たとえば、デートに誘われたとします。「OK!」と即座に答えるのも、恋愛テクニックです。しかし、これはベターではあっても、ベストではありません。

「日曜日は予定が入っていてちょっと都合が……でも、それをキャンセルします」。こんなふうに、 即座にOKするより、ちょっと渋ってからOKする、この呼吸がベストの恋愛テクニックといえそうです。

もちろん、ウソでもかまいません。ウソも方便です。仮に暇だったとしても、このような承諾の仕方をすれば、相手の喜びは〝最上のもの〟になるはずです。

即座にOKするのは、たとえて言えば、川の水がサラサラと流れているような状態です。スムーズですが、印象に残りません。

そこで、ちょっと渋ることで、せき をつくるのです。せき をつくれば水が溜まり、エネルギーが蓄積されます。そうして、そのあとでせきを取り除いてやれば(快諾すれば)、水は大きなエネルギーを放出しながら、ドドドッと流れていきます。

承諾のテクニックしだいで、相手の恋愛エネルギーは、ますます大きくなっていくのです。  相手の気持を盛り上げて、自分を〝最上のもの〟と思わせる、ちょっとした工夫で、恋愛はさらに楽しいものになるはずです。

口説かれ上手を自称する、ある女性は、憧れの男性からデートの誘いがあっても、一度は断るそうです。「残念だけど、どうしても都合がつかないんです」と、まずは一方的に電話を切ります。そうして、一分か二分後に、こちらから電話をかけるのです。

もちろん、デートをOKするためです。「さっきのお話、まだいいですか……」と切り出して、「うん、まだいいよ」「ああ、よかった!」と、ここで初めて喜びます。

応える彼の声も、急に明るくなるそうです。一度は完全に「ノー」の意志表示をし、少し経ってから「イエス」と答える。 ちょっと 荒業ですが、さすが〝口説かれ上手〟、アリストテレスの恋愛アドバイスと一致しています。

「あなただから」のメッセージが恋を加速させる

「ちょっと渋って快諾する」というアリストテレスのテクニックは、実はもう一つ、恋愛に不可欠な要因を含んでいます。

相手を特定化することで恋愛意識を高める

一度は断った話に、予定を変更してまでOKすることで、「あなただから、スケジュールの変更をする。他の人だったら、そんなことはしない」というメッセージを、相手は勝手に受け取っているのです。

デートに誘われてOKするこの時点で、ふつうは、ほのかな恋愛感情が芽生えているといってもいいでしょう。

今はまだ恋愛感情ではないにしても、少なくとも二人は、お互いに嫌いではないはずです。  しかし、将来、恋愛に発展するか否かは微妙です。

このような段階においての、「あなただからデートをOKする」という特定化のメッセージは、恋愛意識を一気に高めていくはずです。

「予定は入っているけれども、そっちはキャンセルします」という言葉は、相手にとってはなかなかの殺され文句になっています。

これが、たとえば、「アキラでも、ヤスオでも、誰でもいいけど、今日はヒロシとデートします」というメッセージでは、ヒロシ君の喜びも「中ぐらいなり」で、恋愛感情も中途半端なまま、到底、発火点には到達しません。

言葉や行動で、つねに「特定化」のメッセージを送りつづける ことが、恋愛に発展する大きな要因となるのです。

また、「特定化」は、デートをOKする場合だけではなく、どうしてもOKできない場合にも効果を発揮します。

その日が、本当に都合が悪いのであれば、「今度の日曜日はどうしても駄目だけれども、次の日曜日だったら大丈夫です」という答え方はどうでしょう。

都合が悪いことを伝えつつ、代替案で日時を特定化するのです。これがもし、「今度の日曜日は駄目だけれども、また時間を見つけて誘ってください」という言い方だとしたら、相手が再度、デートに誘ってくれる保証はありません。

それに、このような 特定化されない約束は、まず、実行されないものです。「今度はもっとゆっくり会って話したいね」「そうね、私も話したいことたくさんあるわ」「今度、時間を見つけて、また会おうよ」「そうね、電話で連絡を取りあいましょう」。

友人同士で、このような約束をしたとしても、実現されることはほとんどないはずです。これが「特定化されない約束」の末路なのです。

また、漠然とした断り方では、相手は、「体のいい断り文句だな」と、解釈するかもしれません。

そうなっては、二度と電話はこないでしょう。そうならないように、 断りながらも、もう一度、誘わせるのが、「特定化」の効果なのです。

ある男性によれば、女性が「おじ」や「おば」を、デートを断る理由に挙げたときは、脈はないと判断するそうです。

「日曜日は、おじのお見舞いに行くから……」「日曜日は、おばが上京してくるから……」このような台詞の中に、残念ながら、「デートなんかしたくない」という強い意思をかぎとるのだそうです。

体 のいい断り文句を口実に誘いを断る相手をまた誘っても、再度断られるだけでしょう。

確かに、私たちは、とっさにウソをつくとき、無意識に「おじ」や「おば」を口実にしていることに思い当たります。「父」や「母」を口実にすることはあまりありません。

つまり、「おじ」や「おば」は、漠然とした存在であり、「父」や「母」は、特定化された存在なのです。

ウソをつくとき無意識に特定化を避け、ばれたときの逃げ道をつくっている

ちなみに、詐欺師の言葉には「おじ」「おば」の出てくる頻度が非常に高いそうです。 「おじがハワイでホテル業で成功していて……」「おばに思わぬ遺産が転がり込んで……」。

このような台詞をそれとなく会話に取り入れ、相手に共同事業者になるように依頼して、出資させたりするわけです。

このように、特定化を避けた話は、どこかうさん臭いメッセージを相手に与えるものです。  だからこそ、逆に、「あなただから、デートはOKする」 「次の日曜日だったら大丈夫」。

といった、特定化されたプラスのメッセージを送りつづけることで、その恋愛は具体的に進行し、さらに展開しやすい状態がつくられるのです。

プライバシーの告白が二人だけの秘密に

私たちは、他人には知られたくない悩みをたくさん抱えています。とくに、金銭の悩み、身体(健康)の悩み、家族の悩みなどは、できることなら秘密にしておきたい問題でしょう。

おそらく、この三つの問題は、新聞や雑誌の「身の上相談」で、もっとも頻度が高いはずです。もちろん、相談者は匿名を希望しています。相談はしたいが、プライバシーは守りたいという心理です。

自分のプライバシーを他人に話すことを心理学では「自己開示」といいます

自己開示の効果

さて、これらの 秘密を打ち明けたら、相手はどのような反応をするでしょうか。 ここがポイントです。

憧れの人に、自分の悩みを告白するのには、とても勇気が必要です。しかし、ここで勇気を振り絞れば、自己開示=プライバシーの公開は、恋愛が大きく展開していく推進力になることも多いのです。

「父が入院して、家業も休みがちで、入院費のことも考えなきゃいけないし……どうしたらいいか……」

こんな話を恋人からされたら、相手は深く同情するでしょう。しかし、それ以上に感じるのは、「そんなことまで話してくれるなんて……、そんなに、ぼくは信頼されていたのか……」  という、ある種の感動です。

自分だけに秘密を打ち明けてくれた。そんなふうに思えば、相手がイヤな気分になるはずはありません。

これだけでも自己開示の効果は大きいのですが、このひとことがきっかけになって相手の自己開示を促し、さらにそれが相互開示に発展していくメリットがあります。

相互開示は、一方の自己開示のレベルに応じた自己開示をする、という特性があります。人は、相手の自己開示に釣り合った内容の自己開示をするのです。

憧れの職場の同僚に、「最近、仕事がつまらない」と相談したとします。この告白に対して、相手もまた、同じレベルで自己開示し、アドバイスするパターンが生まれます。

「実はぼくも、仕事がつまらないと悩んだときがあって……そんな場合は……」と、自己開示が同じレベルで交換されるのです。

しかし、これは浅い自己開示です。これだけでは、相手の心に強く訴えることはできないでしょう。「だから、会社を辞めようかと考えている」と相談すれば、これは、かなり深い自己開示といえます。

誰にでも相談できる内容ではありませんから、相手も「信頼されている」と自覚します。そうなれば、相手のアドバイスもまた、これに応じた深い自己開示になるでしょう。

ここで、二人のあいだには、常に同じステージで、お互いの秘密を告白するというパターンが生まれます。

一方が深い自己開示を示せば示すほど、相手も深い自己開示で応えるのですから、自然に親しみや愛情も深まっていきます。

自己開示は、とりわけ相手がクラスメイトだったり、職場の同僚だったりする場合に効果を発揮します。知り合ってから長く、何回も顔は合わせているけれども、なかなか恋愛関係には発展しないという人に対しても効果的です。

初対面、あるいは、それほど親しくもない相手に自己開示したとしても、効果は小さいでしょう。逆に、「軽率な人」というマイナスイメージをもたれてしまう可能性もあります。

「誰に対しても、こんな重要な秘密を告白しているのだろうか」と思われてしまうかもしれないからです。自己開示は、あくまで、二人の関係にふさわしいレベルの告白が重要なポイントなのです。

このように、自己開示は、相手との距離を縮める非常に有効な方法ですが、だからといって、乱発するのは考えものです。

また、深刻な自己開示は、一回で終わらせるのではなく、何回かに分けて、少しずつ話を深めていく方法が賢明です。

いちばん大事な相談は最後に残し、 外濠 から徐々に埋めていく配慮が必要でしょう。 「私の趣味は……」といったレベルから始め、時間をかけて深い自己開示に到達する根気も必要です。

自分からプライバシーを告白するなんて恥ずかしい、きっとバカにされる……と躊躇するかもしれません。

しかし、もし相手に自己開示されたら、あなたはどうしますか?そう考えれば、答えはおのずと決まってくるはずです。

「好き」と告白されると「好き」になる

恋愛には「好意の返報性」 という法則があります。これは、 好意を示せば、相手はその好意に見合った好意を投げ返してくれるという人間心理です。

こんな実験があります。相手のクセ、話し方、容姿などのチェック項目をリストアップし、その人を(自分は)どのくらい好きかを七段階に分けて評価します。

「7」の場合は好意度が高く、数字が下がるほどに好意度は低くなる。「1」の場合は、とても好きになれない人という評価になります。

AさんがXさんとYさんについて、リストをチェックして、それぞれの好意度を測ります。Xさんについて、仮に「7」、Yさんについては「1」という評価が出たとします。

さて、次に、XさんとYさんにAさんの好意度の評価を教えます。「Xさんは7段階」「Yさんは1段階」という結果です。

さて、XさんとYさんは、Aさんに対して、どんな印象をもち、どの程度の好意度を示すかという実験です。

結果は、Aさんへの好意度は、Xさんは「7段階」、Yさんは「1段階」でした。つまり、 相手はAさんの好意度に応じた好意度を示したのです。

好意の返報性の心理効果

「自分を好きな人を好きになる」これが、好意返報の心理効果の原則です。誰でも、他人から好かれたいという欲求はあるものです。

好かれないにしても、最低、嫌われたくはないという気持ちは、たいがいの人がもっているのではないでしょうか。

しかし、「自分がどれくらい好かれているか」「もしかして嫌われているのか」といったことは、自分では意外にわからないものです。

「確かに、友だちは何人かいるけれども、本当に好かれているのだろうか……」あなたの好きになった相手もまた、こんな不安に悩んだことがあるかもしれません。

そのような漠然とした不安をもっている相手に、「ずっと前から好きでした」と、告白するとします。

そうすると、とにもかくにも、相手は、あなたの告白によって、自分が好かれていることに確信を得ます。

自分が同じように告白されたときの気持を想像してください。相手が誰であったとしても、悪い気はしないのではないですか?

そして、少なくとも自分が、この人からは好かれているのだとわかり、何らかの自信を得ることができたでしょう。

さて、あなたが告白した相手の反応はどうなるか、考えてみましょう。まず、あなたを見る目が、以前とは変わるはずです。そして、 自分が好かれていることを確信させてくれた相手に少しずつ魅かれていく可能性は高いはずです。

少なくとも、告白以前より好意が高まっているのは間違いありません。ためしに、周りにいる既婚の異性に、次のような質問をしてみれば、「好意の返報性」の原則はもっとよく理解できるでしょう。

「奥さんは(ご主人は)理想の女性(男性)だったのですね?」「いいえ、理想の女性(男性)は他にいたけれど、告白されて……気がついたら、相手を好きになっていたんです……」  このように答える人が意外と多いことに気づくはずです。

ただし、ただし、「好きです」と告白するときには、心から誠意を込めて言う必要があります。自分の全てを注ぎ込むくらいの気持ちで告白すれば、相手もその好意度に応じて、以前よりも気持ちを高めてくれる可能性はかなり高いでしょう。

気持ちを込めることが相手を動かす

楽しかったけれども物足りなかった。過去の恋愛を、このように振り返ることはありませんか?

知人の女性は、何回もこのような体験をしたそうです。そして、何か足りない…… 何だろう?原因は?と考えて、彼女なりの結論を得ました。 それは、意外な答えでした。

「告白 された から」というのです。つまり、自分が選んだ男性ではなく、男性から選ばれて 恋愛が始まった。この経緯が物足りなさの原因だったというのです。

そして、次の恋愛は自分で選び、自分から告白すると、固く決心し、「告白というハードルを越えてつかんだ恋愛にこそ意味がある」と、彼女なりの決意と哲学を語ってくれました。

とはいえ、「告白」の前には、それなりの準備も必要です。

自我関与という心理学

相手とのコミュニケーションのなかで、できるだけ深く自分の心を訴え、存在をアピールする方法です。

私たちは、大切な人への年賀状には、印刷された賀状文のほかに、肉筆で一行か二行書き添えます。ささいなことですが、相手に与える心理的影響は想像以上に大きいのです。

こうした行為によって、相手がどのくらいの親密感をもつかは、自分が受け取る側の立場で考えれば、その効果を実感できるでしょう。

パソコンで作った年賀状にしても、ただ文字が並んでいるものより、文字の大きさを変え、イラストを入れ、記号を駆使し、デザイン的にひと工夫されたもののほうが、相手は親密感をもつはずです。これが「自我関与」です。

これを恋愛に応用するとすれば、告白する前に、できるだけ高い自我関与度で相手に接していることが 肝腎 です。いきなり告白されては、相手もうまく対処できません。いわば、 告白のための〝環境づくり〟が必要 なのです。

ところで、こんな、「紹介文」に関する研究があります。これによると、自我関与度が高く、その人をどうしても紹介したい場合の紹介文には、二つの特徴があるそうです。

一つは、文面が量的に長いことです。「どうしても」という熱意の結果、文面が長くなってしまうのです。反対に熱意がなければ、紹介文も短く、おざなりになるはずです。そのぶん自我関与度が低いといえます。

もう一つの特徴は、自我関与度の高い紹介文ほど、「私は○○です」という文章が多用されるということです。〝私〟の意見が主張されるのです。

「私は○○氏を有能で、性格も明るく、健全な人だと思います。だから、私は彼を推薦します」といった文章構成が自然と多くなります。

逆に、自我関与度の低い紹介文ほど、「私は○○です」の文章構成が影をひそめ、間接的な文章表現が目立ってくるのです。

「○○氏は有能で、性格も明るく、健全な人といわれています。彼を推薦する人は大勢います」という具合にです。

これでは、紹介者としては迫力不足です。世間の評判を基準に推薦されても、世間の評判を基準に推薦されても、相手はなかなか〝その気〟にはなれません。熱意が伝わらないでしょう。

自我関与度を高くすれば、相手の心を動かすこともできる。これが自我関与の鉄則です。  これは、デートのときの言葉づかいにも表れます。

別れ際の言葉で、「私たち、また、どこかで会いそうですね」も、クールで悪くはないですが、「私たち、また、きっと会いたいですね」と言ったほうが、相手に与えるインパクトは強いでしょう。

前者は偶然性の要素が大きく、自我関与度は低いですが、後者では、自分の意思を率直に伝えることで、自我関与度を高くしているのです。

相手とのつきあいの中で、つねに自分の気持を自然なかたちで伝え、高い自我関与度で接していれば、相手にも感じるものがあるはずです。

いきなり告白しても、相手との心の距離が想像以上に遠かった場合は、失敗に終わります。結果を急がず、まず、心の距離を近づけておくことが第一段階です。

告白は、その後でも遅くはないのです。当然のことですが、告白そのものも、できるだけ高い自我関与度で訴えるべきです。

バレンタインデーにしても、市販のチョコレートをプレゼントするよりも、自分で作ったもののほうが自我関与度が高いといえます。

自分に面倒をかける人を好きになる

自我関与とは、前述のとおり、相手とのコミュニケーションにおいて、できるだけ自分の気持ちを訴えアピールする方法です。そのぶん、かなりエネルギーが必要だといえます。

しかし、逆に、相手にエネルギーを使わせる方法もあります。つまり、相手に否応なく自我関与させるのです。

自我関与の効果を逆利用する高等心理テクニック

誰にでも「ちょっとした知り合い」という程度の知人はいると思います。

深い関係ではないにしても、対等の関係です。この対等意識が、お金の貸借関係においてどう変化するのかを調べた実験があります。

お金の貸借関係の成立後、意外なことに、貸した人は借りた人に対して、以前より好意をもつようになる、という調査結果があるのです。

本来ならば、貸した人は相手を敬遠しそうなものですが、以前にも増して好きになる、というから不思議です。

それにしても、 自分に負担をかける相手に好意をもってしまうのですから、割り切れない気持ちです。とても理不尽なことです。

しかし、「馬鹿な子供ほどかわいい」ということわざもあります。実はこうした心理は、心理学で説明できることなのです。

企業の部長、課長クラスの人も、優秀な部下よりも、出来の悪い部下を可愛がる傾向があるそうです。

「あいつは、もうクビだ。何で、あいつの仕事を俺がフォローしなきゃならんのだ。まったく、面倒ばかりかけやがって……」負担をかける部下に対してグチを言っている上司も、結婚式の仲人を頼まれたりすると、一肌脱いでしまうのです。

自分に面倒をかける部下に主導権を握られたような気持ちで 苦々しく思っても、イザというときにはその部下のために頑張ってしまう。

心の底から嫌いな部下に対しては、頑張る必要もないのですが、どこかで好意を抱いて、その手のかかる部下に関与してしまうのです。

おまけに、誰かが、「あいつ、まったくダメだなぁ」などと批判すると、「いや、ああみえて、彼にもいいところがあるよ……」などと、つい援護したりもしてしまうのです。知らず知らずのうちに、彼の味方になっているです。

お金の貸借関係も、これと同じです。貸した後で、「あいつは、借りた金を返さない」という噂を聞いても、「いや、そんなことはない。彼を信じる」と、噂を否定し、彼を弁護します。

こうして徐々に彼に対して自我関与度を深めてしまい、好意を抱いてしまうのです。恋愛においても、相手に否応なく自我関与させる方法は効果があります。

自分が、お金を借りる側に立つのです。 意識的に、相手に負担をかけるわけです。 「アッシー君」と呼ばれる男性がいました。アッシーとは「足」、つまり彼女の行動に合わせて、車で送迎するボーイフレンドのことです。

タクシーが捕まらないとき、電話一本で、指定の場所まで迎えに来てくれるのですから、とても健気な男の子です。

彼らは、負担をかけられ、自我関与をしてしまい、ついには、その女性に好意を抱いてしまうのです。「まったく、面倒くさいなぁ」と思いながらも「ボクが面倒みなきゃ、しょうがないな」

という気持ちになり、ハンドルを握る。彼らは、せざるを得ない立場に追い込まれ、否応なく、自我関与させられてしまった、というわけです。

このように、 相手にとって、ちょっと困った存在になる、というのも、恋愛のきっかけになります。

私たちは好かれたいと思うと、つい優等生のようにふるまってしまいがちですが、それは、必ずしもプラスになるわけではないのです。

むしろマイナスにふるまい、相手に負担をかけたほうが、相手の心を捉えるケースもあるのです。

相手にいったん自我関与させてしまえば、恋愛は比較的スムーズに展開します。もし、悪い噂が流れたとしても、「いや、彼女は(彼は)決して噂のような人間じゃない」と相手をかばい、ますます好意を深めていくから不思議です。

長所だけでなく短所もアピールする

どんなに魅力的な人にも、多少の欠点はあります。欠点は欠点として仕方のないことですが、自分の魅力を相手にうまくアピールするには、どうすればいいのでしょうか。

これには大きく分けて二つの方法があります。一つは 自分の長所だけをアピールして、相手の気持を魅きつける方法 です。これを 片面呈示といいます。

もう一つは、 両面呈示といわれる方法で、 自分の長所も短所も相手にさらけ出し、相手の注意を引きつけます。

「私はあわて者だけれども、性格は明るい」といったアピール法です。

片面呈示と両面呈示とでは、どちらが効果的なのでしょう

一般的には、片面呈示より両面呈示のほうが効果が大きいといわれています。優秀なセールスマンは、このあたりのことが体験的にわかっているらしく、基本的には両面呈示で商品を売り込むのだそうです。

「この商品は、こんな欠点もありますが、便利さにおいては、他社の製品に負けません」  という言い方です。

しかし、相手によっては片面呈示が効果的な場合もあります。あるセールスマンによれば、相手がもともと「賛成の態度」を持っている場合は、両面呈示より片面呈示のほうがうまくいくのだそうです。

恋愛での片面呈示と両面呈示

優秀なセールスマンは、相手によって、片面呈示と両面呈示を絶妙に使い分けているのです。  さて、では恋愛においては、片面呈示と両面呈示をどのように使い分ければ、より効果的なのでしょうか?

まず、 片面呈示は恋愛のスタート時に有効です。 お互いの長所を認め合うことで、恋愛は大きく前進します。

また、その前段階の、片思いの相手にアピールする場合も、自分の長所を強調するのが効果的です。

相手が自分と基本的に同じ態度、同じ考え方をしている場合も、片面呈示が有効です。たとえば、「将来は結婚したい」とお互いに考えているけれども、なかなか実現しないケースがあります。

二人とも結婚したい。けれども、踏み切れないでいるといった状態です。あなたが女性で、彼に踏ん切りをつけさせたいとしたら、どうすればいいのでしょうか。

こんなケースのときは、片面呈示です。自分の長所を強調しながら、つまり、「私は健康で、性格も明るいっていわれるから、結婚すればきっといい家庭をつくれるわ」と、プラスのイメージだけを彼に与えるのです。

「押しの一手」というわけではないにしても、「こんなにいい」と強調することで、彼に決心を促すのです。

片面呈示が結婚を現実化につなげる

ところが、 自分は将来、結婚するつもりでいるけれども、彼が結婚については意志薄弱だ、というような場合は、両面呈示のほうがいいのです。

「私は、掃除は苦手だけど、料理だったら誰にも負けないわ。だから結婚すれば、部屋はちょっと汚ないかもしれないけれども、毎日、おいしいものが食べられるわよ」。

どんな表現でもいいけれども、とにかく、自分の短所と長所の両面を並べて伝え、後は彼に「ゲタをあずける」状態にするのです。

もともと彼には、結婚の意志が薄弱なのですから、片面呈示で長所だけを主張しても、カラ回りするばかりで、彼の気持ちに届きません。

これを逆手にとって、両面呈示で迫れば、欠点を述べることで長所の部分が強調されるのです。

長所と短所の落差が効果的に働くわけです。また、短所を前もって述べておけば、その後の展開も非常にラクになるので、両面呈示は一石二鳥の性質もあります。

自分の短所は、いくら隠していても、いずれ相手に知られてしまいます。文句を言われて、「いや、実は……」と、そのときになって実態を説明するのでは、相手の心変わりが心配です。

片面呈示には、この危険性がつきまといます。その点、両面呈示で前もって自分の短所を見せておけば、相手の気持ちに免疫ができますから、短所も大きなショックとはなりません。

これが両面呈示の有効なところです。片面呈示は、やりすぎると、自己顕示欲の強い女性というマイナスのレッテルを貼られる危険性もあります。

これを解消するために弱味も見せておいて、彼の関心を引くというバランスも必要でしょう。

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