告白こそが恋愛!恋愛のハードルを一気に上げる告白文化事情

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告白する男性。

セフレは本気の恋愛とは違う、別腹。この点は欧米寄りだ。ならば 日本の若者は、異性の友達やセフレとステディな恋人の違いを、いったいどこで識別しているのか。

ズバリ、それが「告白」である。「男女平等の、いまの20代にとっては告白こそが恋愛の、大きな大きなはじめの一歩」と話すのは、『ゼクシィ』首都圏版の編集長、神本氏だ。

いわく、昔は「異性と約束して2人で出掛ける」となった時点で、ある程度はお互い「いいな」と思っているに違いない、との意思表示になった。

上の世代に比べ、恋愛の前段階が圧倒的に広義で長い

まず男女平等で友達感覚だから、異性の友達とも、普通に2人で食事や映画に行く。旅行に行って2人だけの部屋で寝ても何も起こらない、という「ソフレ(既出の、添い寝フレンド)」までいたりもする。

途中、仮にどちらかが「恋人気分」になっても、基本は割り勘。一般には、男性が彼女のために頑張ってバイトで稼ぎ、高価なプレゼントを贈る、なんてこともしないから、女性にも「これって付き合ってるって言うの?」が極めて分かりにくい。

となれば、やはり告白は必須事項。単なる友達付き合いではなくステディな「恋愛」というアイテムを手に入れるために、クリアしなければならないステージである。

だが当然ながら、告白にはリスクがある。コミュニティ内での告白なら、「アイツ、空気読めねぇな」「周りのことも考えろよ」と見られたり、関係がこじれるかもしれない。

通勤電車でいつも遠くからジッと眺めていた女性に告白すれば、「あの人ストーカーじゃない?」と怖がられる恐れもある。

何より最大のリスクは、「振られる」こと。リクルートMPの「恋愛観調査」(14年)でも、「振られるリスクを思うと、告白したいとは思わない(友達のままでもよい)」と答えた 20 代は、男性で32%と3人に1人。女性はさらに多く、49%と2人に1人だ。

ちなみに告白を避ける割合は、現40代(未婚)では男性 26%、女性 38%と、20 代よりいずれも低い。また、高校生・大学生と20代の社会人男女に聞いた別の調査でも、「気になる人(好きな人)ができても、すぐには告白できない」男性が8割。

その理由に「振られたくないから」をあげた男性は29%(第3位)だが、1位、2位の「自分に自信がない」(70%)と「相手の気持ちが分からない」(63%)も、いわば「振られたくない(から告白しない)」とほぼ同義であることは、一目瞭然だ(11 年/ユニリーバ・ジャパン)。

覚悟を決めて「いざ告白!」となっても、そのセリフは驚くほど曖昧だ。彼氏と交際することになったきっかけ、「じゃ(交際)交渉成立ってことで」も、恋愛クールの代表だが、「LINEで『暇だから、とりあえず付き合っとく?』と聞かれた」や、「うちら付き合ってるらしいよ、そうなの?」 「『俺は別に付き合ってもいいけど(ゴニョゴニョ)、そっちで決めて』と丸投げ」 「(デートの)お金出してくれるんなら、それ(交際)もアリだと思うけどね」 など、「おいおい」とツッコミたくなるセリフが次々飛び出した。

いずれも、 曖昧な表現や彼女に丸投げすることで、振られるリスクを回避したいのだろう。   とはいえ、私もいまの時代の男性に生まれていたら、告白には相当なプレッシャーを感じたに違いない。

バブルの頃のように、「100回プロポーズしてフラれても、101回目で『うん』と言わせれば儲けもの」と感じられる時代なら、まだいい。

さらにその少し前、女性に一生働ける職場がほとんどなかった60~70年代なら、ある程度お金にものを言わせて「俺について来い!」と偉そうなことも言えたろう。 ところが、現代はそうではない。

男女平等が当たり前の時代だから、女性も堂々と「イヤなものはイヤ」と拒否権を発動する。下手に告白すれば、セクハラやストーカーに間違われるかもしれない。あるいは、「今日、超ヤなヤツに告られた(告白された)」「うっそー、キモ~い(気持ち悪い)」と、SNSで袋叩きに遭うかもしれない。
だったら、あえて告白せず「友達のまま」でいよう、そう考えたくもなる。「セフレがいる」と話した女性たちのなかには、「もし彼(男友達)が告白してくれたら、付き合ってたかも」と洩らす女性が何人かいた。

セフレ持ちの女性が目立ってきた背後には、やはり「告白できない男」の存在もありそうだ。

告白からスタートは日本だけ?世界の恋愛と告白の事情

しかし、告白できない男性たちよ、決して自分を卑下するなかれ。国際恋愛や国際結婚にも詳しい、中大教授・山田氏によると、実は「告白してから交際する」という文化や概念は、欧米にはほとんどないというのだ。

「西洋の多くは、ちょっといいなと思ったらまずデートや食事に誘い、アイコンタクトやボディランゲージから恋愛に発展する。その前提として、誰か1人に絞って告白するのではなく、複数の異性と並行して付き合う、という文化がある。

目からウロコだ。これまで、少なくともここ数十年間の日本では、「告白するのが当たり前」との概念が主流だったろう。もし告白抜きで異性と交際すれば、「いい加減」「遊び人」などと見られ、交際自体に「不真面目の烙印を押される可能性もある。

でも実は、告白から恋愛に至る流れは、欧米ではほとんどない……、となれば、若者たちが嫌う告白そのものをなくす、あるいは「告白ステージをクリアせずとも、恋愛あるいは結婚アイテムをゲットできる」ような新たな流れが生まれれば、彼らももう少しラクになれるのではないか。

そこで、各国の恋愛と告白との関係性を、簡単に見てみよう。まずは、アメリカ。米国に行ったことがない日本人でも、高校や大学の卒業記念などに行なわれるフォーマルなダンスパーティ「プロム(プロムナード。舞踏会の略)」はご存じだろう。

古くは、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『キャリー』、最近では『ハリー・ポッター』や青春ドラマ『ゴシップガール』『glee』などにも登場する。

参加は、原則として男女1対1のペア。「一緒に行こう」とパートナー候補を誘うのは、圧倒的に男性だ。これを事実上の「告白」と見る向きもある。

プロムが近づくと、男性は正装用のタキシードやカマーバンドを新調し、女性はドレスやジュエリーを買ってヘアスタイルやネイルアートにも凝る。

プレゼント用のブーケやカードが飛ぶように売れ、リムジンをチャーターする男性までいるほどだ。

セレブな専用ファッションや「どうすれば男の子に選ばれるか」といった駆け引きマニュアルは、日本の10、20 代向け女性誌となんら変わりない。ただ、映画『キャリー』をご覧になった方は分かるだろう。

プロムという恋活システムでは、いかにモテない女性が傷つくかを。私も小学生時代にこの映画を観て、しみじみ思った。「あぁ、アメリカに生まれなくてよかった」と。

親や地域が支援する、アメリカの「恋活」事情

一見すると、プロムは若者の「モテ格差」をあらわにする、弱肉強食イベント。だがよく調べると、そのプロムの裏にも「大人」が介在していることが分かる。 たとえば、地域再生プランナーの久繁哲之介氏が、ある専門誌に寄稿した一文。

ここで「カップル減少社会」と街づくりについてふれた久繁氏は、次のように記述している。

プロムに誰と参加するか、そもそも参加できるかに関しては親や学校、そして地域が高い関心を寄せる。(中略)さらにプロムの準備や後片付けには、生徒の父兄や地域コミュニティも参加する。

カップル成立は本人のみならず家族や地域からも期待されているのだ─(07年5月発行/『アーバンスタディ』民間都市開発推進機構)。

また、アメリカの大手広告代理店(JWT)出身で、現在企業のブランディングなどを手掛ける結城喜宣氏が、宣伝会議運営のWEBに寄稿した記事によると、近年のプロムは、開始1か月ほど前に学校がサイトで告知を始め、生徒会がフェイスブック上にイベントページを作り、生徒だけでなく「親」も男子が女子を誘う様子を見守りながら楽しめる、とのこと( 12 年6月 29 日掲載/『AdverTimes(アドタイ)』)。

これらを読む限り、 若者の自由恋愛の場に見えるプロムも、実は地域住民や彼らの親が「お似合いのカップルが生まれればいいな」と期待を寄せる地元一体型の恋活イベントである様子が分かる。

日本でいえば、街コンや親同伴のお見合いパーティのようなものか。先の女性誌『セヴンティーン』や『ティーン・ヴォーグ』のプロム特集にも、男性が「一緒にプロムに行こう」と誘いに来た際、女性の家族が「よく来たね」と出迎えたり、両親が「うちの娘をよろしく」などと共に食卓を囲む様子が描かれていたりする。

そこで彼が、一家の記念写真におさまることもあるという。つまり、男性からの誘いが前提のプロムとて、そこでいきなり「付き合ってください」と壮大な告白ハードルを越えるわけではない。

参加のお誘いは、あくまでも「一緒にご飯食べようか」ぐらいカジュアルなもの。それを周りで見ていた大人たちが、「いいね」「だったら付き合っちゃえよ」といわんばかり、横からグイグイ応援する、といった様相だ。

なぜアメリカでは、親や地域が若者の恋活を後押しするのか。もちろん、「いい出会いがあれば」と願う親心もあろう。ただ、ベースにあるのは「若者だけを野放しにすると、危険だ」との見方だ。

多少飛躍はあるが、「危険」のイメージは、ホラー映画『13日の金曜日』などの冒頭で殺りく者(ジェイソンほか)に殺される、いちゃいちゃカップル。羽目を外してドラッグに手を出したり、危険も顧みずに荒っぽいセックスをしたり、といった暴走を大人たちが見張ったり止めたりする意味合いが含まれている。

もう一つ、欧米で「告白」のニュアンスに近いイベントが、バレンタインデー。昨今は日本でも、女同士で贈り合う「友チョコ」や、パパや兄弟に贈る「ファミ(ファミリー)チョコ」が主流だが、それでも昭和に普及した「女子が男子にチョコを贈る日」のイメージを持つ人も多いだろう。

だがよく言われるとおり、欧米諸国のバレンタインは「恋人の日」、男女どちらからプレゼントを贈ってもいい。一部には、バレンタインを一世一代の告白と捉え、高価なジュエリーを用意する男性もいる。

ただ、やはり定番はチョコレートやキャンディ、バラの花束といったカジュアル系。かって日本がそうだったように、なんちゃってイベントの意味合いも強いので、たとえ「ごめんなさい」と振られても、傷は浅くてすむはずだ。

友達と恋人の境が曖昧。ヨーロッパの恋愛文化

では、恋愛を「発明」した国とも称されるフランスはどうか。花の都・パリのイメージで「恋愛意欲が旺盛な国」と見る人も多いだろうが、いわゆる「告白」文化は、フランスにはない。

先の山田氏の言葉にあった、「まずデートや食事に誘い、アイコンタクトやボディランゲージから恋愛に発展する」という流れに近いようだ。それを象徴するのが、意外なまでに「交際経験ナシ」が多いこと。

内閣府の調査(10年)で国際比較を見ると、20 代の「交際経験ナシ」(未恋男女)は、日本で27%。他国では、スウェーデンが20%、韓国17%、アメリカに至っては8%弱しかいない。

これだけ見ると、日本だけが突出して多く見える。 ところがフランスに目を向ければ、日本よりさらに多い28%。30 代でもさほど減らず、日本(23%)とほぼ同率の22%が、未恋のままだ。

なぜ、フランスが?20代の頃、フランスに留学していた友人の話だ。彼女には食事やセックスを楽しむ男友達がいたが、それまで一度も「恋人」と思ったことはなかったという。

「でもある時、彼が初めて『ma chérie(マシェリ)』って呼んでくれた。それで『あ、恋人と思ってくれてるんだ』って分かって、嬉しかった」 マシェリは「私の最愛の人」の意味。

これを言われれば、「私はステディなのかな」と実感できる が、「je t’aime(ジュテーム/愛してます)」だけでは、確信が持てない。

山田氏が言うとおり、「複数と同時並行で付き合う」のが前提だからだ。そう、告白文化がないフランスでは、「付き合ってるの?友達なの?」が非常に分かりにくい。

そもそも「マシェリ」以外にも、「mon âme(モナーム)」「mon amour(モナムール)」や、英語の「ハニー」に近い「mon chou(モンシュー)」など、愛情を込めた呼称が限りなくあって、その会話や駆け引き自体を楽しむのが、フランス流。

わざわざ頭を垂れて「付き合ってください」と告白するなんて無粋だ、とも考えるのだろう。

ちなみに、同じように「呼び名」の違いによって相手の本気度を測る、とされる国が、情熱の国・スペインやブラジル。

前者は、「amiga(アミーガ)」が「novia(ノヴィーア)」に変わったら、後者は「ficante(フィカンチ)」が「namorada(ナモラーダ)」に変わったら、それぞれ異性の友達が「恋人」「かけがえのないパートナー」に昇格した、とみるよう(いずれも女性の場合)。

フランス同様、駆け引きしながら「え?いま、なんて呼んだの?」と聞き返すなど、ちょっとスリリングな展開も楽しめそうだ。

でも、恋愛にもコスパや合理主義を当てはめやすい日本の若者は、「まどろっこしい」「面倒くさい」と感じるかもしれない。

そしてもう一つ、告白なしに「友達か、恋人か」を知る方法として最近、 欧米で注目されているセリフが、「一緒に住もうか」。

スウェーデンとフランスはそれぞれ87 年、99 年に、男女(あるいは同性同士)の安定した共同生活と子作り(および結婚)を促進する法律(前者がサムボ、後者がパックス)を制定。

入籍に依らない同棲カップルでも、一定期間共に生活すれば社会保障が得られるという、いわゆる事実婚の後押しを始めた。

もちろん「一緒に住もうか」は、「入籍しないけど子作り(事実婚)してもいい?」という、間接的な告白やプロポーズとも受け取れる。

ただ、どちらか一方が意を決して告白するというより、カップル双方が結婚(事実婚)を前提に、「ねえ、(将来)試しに住んでみる?」と互いの意思を確認し合う、といったニュアンスだろう。

このほか、ドイツやイギリス、オーストラリアなども、一般には告白ナシで「まずは2人で食事したりセックスしたり、あるいは一緒に住んでみて、そこから本気で付き合うか、生涯のパートナーになるかを考えよう」とする国、だとされている。

これらの国々では、恋愛と結婚は一線上にあるものの、お試し感覚で同居・同棲し、その延長で事実婚を選択するカップルが決して少数派ではない。

10 年前の内閣府の「国民生活白書」(05年)でも、すでに男性と共に暮らす(同居)女性のうち、入籍せずに同棲・事実婚へと向かう20代女性の割合は、オランダ、フランス、オーストリア、フィンランド等で約5割、スウェーデンでは約6割にものぼっていた。

また、12年のアメリカ商務省の調査で「婚外子」、すなわち法律婚以外の事実婚等で誕生する子どもの割合を見ても、スウェーデンやフランスで5割強、デンマーク、イギリス、アメリカ、オランダでも4割強もいて、いかに「同居→同棲→妊娠(出産)→事実婚」へと流れるカップルが多いかが分かる。

要はこれらの国では、「友達→恋人→結婚」の境界線が、日本ほど明確に分かれていない、ということ。

どちらがいい、悪いではないが、若者にとっては、「告白や入籍が当たり前」とされる日本ほど、恋愛や結婚のハードルが高くないのは確かだろう。

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