恋愛はストレスフリーな付き合い!コミュニティ内恋愛は嫌われる

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恋愛に求めているストレスフリーな付き合い。

常に周りの空気を読み、「みんな仲良く」を重視する現 20 代。彼らは、身内同士では恋愛したがらないのが特徴です。

仮にグループ(コミュニティ)内で三角関係や失恋、嫉妬などが発生すれば、仲間の輪が乱れてしまう。まして、バブル期の大ヒットドラマ『男女7人夏(秋)物語』(TBS系)のように、B子がA男とC男に言い寄られて、A男がB子とD子と二股をかけてケンカ、なんてことになれば、グループの存続さえ危うくなります。

和を乱す危険がある「コミュニティ内での交際は?」と聞かれて「自分はアリ」と答えた独身男女は、52%と半数のみになっています。一般の調査でも似た傾向にあります。

会社やサークル、仲良しグループ内での恋愛は、「なんとなく気が引ける」とする20代が、男性で3割超、女性では4割超もいます。

別の調査でも、「(仕事に差し障るから)職場恋愛はしない」が、3人に2人になっています(オーネット)。

彼らの気持ちも分かるが、困ったこともあります。ここ数年、若い世代を中心に、恋愛相手にも「気が合う」「ノリが合う」「価値観が合う」など、自分と似た異性を求める傾向が強くなっていることです。

恋愛に求めているストレスフリーな付き合い

心が求めているのは、むしろ身内に近い感覚の異性なのです。「恋愛の世界に、自由や奪い合いより〝感覚的な疑似性〟を求める気運が高まったのは、90年代半ば以降」だと、関大教授・谷本氏は言っています。

バブルがはじけたこの頃、若者を中心に「争いたくない」「摩擦を避けたい」との思いが高まり、「恋愛も同じような相手とすればラク」といった、脱ストレス志向が働いたのではないか、とみています。

背後にあるのは、超情報化社会や経済不況が連れてきた、高ストレス社会です。また、バブル期由来の「三高(高学歴、高年収、高身長の男性)」や玉の輿といった、恋愛における「勝ち組、負け組」志向を否定する、「反バブル」の側面もあったでしょう。

消費の世界でも「癒し」という語が新語・流行語大賞のトップテンに選ばれたのが、99年です。この頃から、背伸びして高級ブランドやスポーツカーを買う若者は格段に減り、エコで乗り心地がいいクルマや「ナチュラル&シンプル」なファッションが注目され始めました。

ユニクロや無印良品が台頭してきたのも、同じ頃です。無理して高嶺の花や異質な人を求めるより、できるだけストレスがかからない人といたい。恋愛するなら、自分と似た感覚の異性がいい。ただ、身内とは恋愛したくない……。

これではなかなか、先に進むことはできません。私たちバブル世代が青春時代を過ごした 80年代当時、恋愛はいまよりずっと「楽しいもの」だったのです。もっともこれは、時代の趨勢でもあったと、谷本氏は言います。

70年代まで、かろうじて存在していたロマンチック・ラブ・イデオロギーが80年代、恋愛至上主義の時代に入ると、恋愛が遊戯化して「自由恋愛」の気運 が高まってきました。

性と恋愛、結婚の三位一体化が崩れ、「性と結婚は、いったん切り離して考えよう」「自由に恋愛やセックスしてもいいんだ」との解放感が、若者を支配していました。 でも 現20代男女にとって、自由恋愛は生まれたときから当たり前のことになっています。

その解放感よりは、SNSによる束縛実感のほうが何倍も大きい。いまや自慢にさえならない恋愛は窮屈なだけ、決して楽しいものとは思えないだと思っています。

ネットが真の意味で、恋愛マッチングに役立つ日はくるのか?

90年代半ば、バブル経済が崩壊すると、「自分らしさ」や「多様化」の時代を迎えた、とされます。これに対し、「いや、正確には『きっと多様化しているはず』との思い込みこそが、恋愛コミュニケーションの心的コストを増幅させた」と話すのは、大学院で社会学を学び、マーケティング・リサーチ会社ジャパン・マーケティング・エージェンシーで幅広い一般消費者の最新動向を調査、研究する小林祐児氏です。

極端な例をとして。たとえば、セックスに対してです。いくら昭和の時代より価値観が多様化したとはいえ、さすがにいまも『平凡なセックスをしたい』と考える男女が圧倒的多数のはずです。

ところが、いまや週刊誌には「こんなアブノーマルなセックスを要求する異性がいる」との記事が次々と掲載され、ネットを見れば「一生童貞でいい、と考える男性がこんなに増えた」など、あまりになど、あまりに偏った情報があふれています。

凶悪事件も同じです。昭和初期に比べて残忍な殺人自体は「減った」とされるのに、超情報化社会の現代は、一つ事件が起きるとマスコミやネット住民が事細かに裏情報まで収集、流布させるから、一つの事件が増幅して見えてきます。

すると、情報にふれた男女は思うでしょう。「もしかして隣りの人も、凶悪犯の資質を持っているのでは?」「昨日初デートした男性も、アブノーマルな人だったらどうしよう」 出会った瞬間、ストレートに疑問をぶつけられればいいが、なかなかそうはいきません。

とくに繊細な恋愛問題について、初対面から「アブノーマルじゃないですよね」なんて聞こうものなら、自分のほうがおかしいと思われます。ゆえに交際中、ちょっとでも相手に「アレ?」と疑う言動があれば、つい「まぁ、深入りはやめておこうかな」となります……。

こうした自分と違う考え方や規範を持つ人への過剰な拒絶反応を、「多様性フォビア」と呼ぶ人もいます。恋愛でも昨今、何を考えているのか分からない異性を、「念のため」と遠ざける傾向は強くなっています。

こうなると、以前は必需品とされた恋愛や結婚も、「この人は、恋愛欲求があるのか、ないのか」から、会話を通じて探り出さねばならなくなります。その心的コストは、80年代までの何倍にものぼるでしょう。

また、上の世代では、童貞を「アブノーマル」と見る向きもあるが、現20代はむしろ「ピュアな童貞クンがいい」と考えていることもあります。現に、いまやあの『週刊プレイボーイ』(集英社)までが、シリーズで「童貞コン」という名の合コンイベントを主催し、人気を得ていました。 同編集部の担当者いわく「男性 30 対女性 30」で参加者を募集しても、男性は2日で150人ほど申込みが殺到しキャンセル待ちになる、とのことでした。

さすがに女性はそれほどではないが、それでも「童貞の男の子は浮気しなそう」「ピュアで信頼できる感じ」など、次々申込みが入るというのです。そう、肝心なのはマッチングです。

あまりに多様化したかに見える社会でも、「童貞コン」のように、初めから「童貞クンしか集まりませんよ」とハッキリ銘打って人を集めれば、レアな男女同士でも、さほど心的コストを感じずに出逢うことができます。

同じように、初めから趣味や目的ごとにカテゴライズして人を集められるSNSも、「使い方によっては恋愛にプラスに働く」と小林氏は言っています。

確かに、いまやSNSやネット系サービスで出逢って交際する男女(20~40代)が、約1割です。なにかと恋愛ハードルを上げているかに見えるツイッターも、好きなミュージシャンの名前を入れて検索、ヒットしたアカウントの人たちとイベント会場で「まず会ってみる」約束を交わすことができる時代です。

また、会う前の話題作りに困ったら、その人たちの過去のツイートを眺めてもいいのです。「彼は、こんなことが好きな人なんだ」と情報収集したり、「変な人じゃなさそう」と安心感を抱くこともできるはずです。

小林氏は、「とくに日常で瞬時に書き込むツイッターは、呟き手の物腰や性格が見えやすい」とも言っています。

若者を恋愛から遠ざけている、超情報化社会。だがこれから先、ネットをもっと便利なツールとして自由に使いこなせる日が来れば、頼もしい恋愛の助っ人になってくれるはずです。 ネットに使われるか、それとも使いこなせるか。若者たちの挑戦は始まったばかりなのです。

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