いつかは結婚したいが恋愛は面倒!恋愛しない現代の若者たちの本音

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恋愛しない若者。

まずは、この記事をお読みになっている皆様、とくに 35 歳以上の方は、ご自身の青春時代の、淡い「恋愛」のシーンを思い起こしてみてください。

彼氏と、サークル棟でデートの約束をするだけで、「キュン」と胸ときめいた大学時代。「レモンの味」とは言えずとも、心臓が破れそうなほどドキドキ胸躍った、初めてのキス。あるいは彼女の親に内緒で、初めて2人きりの旅行に出かけ、「このままずっと一緒にいたい」と、手を握り合って眠った夜……。

ところが、いまの 20 代男女は、恋愛をしない。できないのではない。したがらないのだ。 ある調査(リクルートマーケティングパートナーズ)によると、現在、交際相手がいない20 代は、女性で 60%、男性では 76%にも及びます。別の調査で「20歳」の時点だけ切り取るとさらに少なく、女性7割強、男性8割弱にいま、彼氏・彼女がいない(オーネット)。

また、明治安田生活福祉研究所の調査で「過去に一度も交際経験がない20代」を見ると、女性で 23%、同男性では41%にものぼります。

30 年以上前はどうだったのでしょうか。

国の第三者機関の経年調査によれば、バブル予兆期~最盛期 の82 年、87 年、「交際相手なし」(18~34 歳未婚)は、女性の35%、男性の43%しかいなかった。

裏を返せば、 6~7割の男女に彼氏・彼女がいた わけで、いまと格段の差だ(国立社会保障・人口問題研究所)。

私は現 40代後半のバブルが終わろうとする世代です。大学時代に、恋愛を美化するトレンディドラマが一世を風靡し、授業やゼミ、サークル活動より、彼氏とのデートが最もプライオリティの高いイベントだった。

当時の流行語は、「アッシー、メッシー、ミツグ君」。足代わりにクルマで送迎してくれ、ご飯を奢ってくれ、プレゼントを貢いでくれるような男性で、私も当時の彼氏には、毎日のようにバイト先までクルマで送り迎えしてもらうなど「ベッタリ」の生活だった。

周りの友人や女子大に通う女友達の恋愛模様はもっとずっと派手で、クリスマス前ともなれば、男性から高級ブランドのティファニーやカルティエを次々プレゼントされて「質屋に売る」子までいた。それが当たり前と思っていた。

もっともバブル期は、いま思えば、恋愛至上主義の最たる時代。それと比較して「いまの若者が恋愛しない」とするのは早計だろう。

現 20 代も、本当は彼氏、彼女が欲しいのに、異性とうまくコミュニケーションがとれず、悔しい思いをしているだけかもしれない……。

たとえば「草食系男子」の存在だ。彼らは異性に告白してフラれるなど、傷つくのを極端に恐れているガラスハートの持ち主。

ただ、09 年ごろから徐々に気になり始めたのが、若い男性と同じかそれ以上に「恋愛クール」な女性たちの動向。最近になって、数字上にもその様子が露呈した。

たとえば、15 年に発表された「少子化社会対策白書」。ここで、未婚で恋人がいない20代男女の約4割が「恋人は欲しくない」と回答。そのうち、男女とも 45%前後は「恋愛が面倒」だと答えている。

また、先のオーネットの調査でも「恋人は別に欲しくない」と考える女性(20 歳)が4割(男性は 35%)。これは過去最低の数字だ。

ちなみに、「欲しくない」派は、男女ともに約1割しかいなかった。35年前のバブル期まで遡らずとも、この15年間で、男性だけでなく女性でも「要らない」派が3割も増えた計算になる。

極めつけは、20 代男女が発した、こんな声の数々だ。

「告白って、なんか本気すぎて怖い」「恋愛自体、恥ずかしい。『ネタ』っぽい」「デートって疲れる。やたらコスト(お金や時間)がかかる割に、トクがない」「最近、彼が仕事で忙しくなったから、月1回しか会わなくてすむんです。ラッキー」

さらには、こんな驚くべき声まで飛び出した。

「結婚すれば、面倒な恋愛から解放される。早く結婚しちゃいたい!」

そう、実は恋愛は、しないだけでなく「無視したい」もの。多くは「恋愛スルー」 なのだ。

また、一部は恋愛嫌い。昨今は消費の世界でも、「嫌消費」との言葉が流布しているが、恋愛も例外ではない。

とくにここ数年は、女子にまで、恋愛が「ブラック扱い」されたりしているのだ。いったい何が、ここまで彼らを「恋愛スルー」にさせたのか。

そこに日本の若者たちが抱えるさまざまな問題が隠れていることが、少しずつ分かってきた。

問題提起したのは、次のテーマ。

このまま恋愛スルーな 20 代が増えれば、ますます結婚しない・できない若者が世にあふれてしまうのでは……?

もっとも、恋愛する・しないは、個人の自由だ。老婆心ながら「若いのにもったいない」とは思うが、それは当の20代男女から見れば余計なおせっかいだろう。

ただ問題は、これだけ恋愛に低体温の若者が増えても、彼らの9割近くが「いずれ結婚するつもり」 と、結婚を希望すること。

一方で、いま「結婚のきっかけ」の圧倒的多数(9割)を占めるのは、1960年代、見合い結婚にとって代わった、恋愛結婚 だということだ。

言うまでもなく、「恋愛結婚」では、異性との交際や恋愛感情の盛り上がりを経なければ、結婚にまで至らない。ということは?間違いない。

この状況を放置すれば、さらに未婚・少子化は加速する。若者の9割が希望する「結婚」が、実現できずに終わるケースも増える。これは彼ら若者だけでなく、日本全体が真剣に、早急に向き合わねばならない課題だろう。

仮に現状の未婚率をキープしても、日本は今後30年間で、いま以上の超少子高齢化社会を迎える。そこで国や自治体はいま、それぞれ婚活支援予算を設けて独自の施策を打ち出すなど、なんとか若い世代の男女に結婚、出産してもらおうと必死だ。

ただ、ここまで恋愛スルーな20代男女を見ていると、少なくとも現状の施策では、いずれも目立った成果をあげられそうにはない。あぁ、何かよい策はないものか……?

レボリューション要因は五つある。おそらく最大要因は「バブル崩壊と長引く不況」だろう。

中大教授の山田氏は「若い世代、とくに男性は、結婚も恋愛も、景気や仕事が安定しなければ前向きになれない」と言い切るが、数字的にもそれは明らかだ。

先に衝撃的なデータを一つだけ紹介しよう。

中学生のうちに「初めての射精(精通)」を体験する男性は、1999年には53%だったが、2011年には 36%にまで減少。性を嫌悪する 20 代男性も年々増え、いまや同男性の5人に1人が、セックスを「汚らわしい」とのニュアンスで見ている(日本家族計画協会)。

なぜか。実はその要因に「母子密着」をあげる識者も多い。たとえば、男子高生のセックス経験率。これを見ると、母親が「専業主婦」の場合、05 年(23%)をピークに経験率が急落し、11 年には8%にまで下がった。

この下げ幅は、共働き母をもつ男子高生や、女子高生の数値と比べ、格段に大きい。

近年、親と 10、 20 代男女の密着ぶりが顕著。高校生や大学生の一部が、まだ親と一緒にお風呂に入っている」と教えてくれたのは、「尾木ママ」こと、法政大学・キャリアデザイン学部教授の尾木直樹氏。

この現象が、子の性的欲求を封じ込める一因にもなっているのではないか、と指摘する。 昭和の時代、「恋愛」は「性」「結婚」と三位一体化していた。性的衝動が、若者を恋愛や結婚に向かわせる」と定義した論文も多いが、すでにその図式はほぼ崩壊している。

「その一因は、親との密着にもある」と話すと、上の世代からは、「最近は、子どもを可愛がりすぎる親が多いから」といった声が多々あがる。「うちの女房も、息子が可愛くてしょうがないみたいでさ」と、半ば失笑する 50、60 代男性が多い。

だが言うまでもなく、親が子を可愛がるのは決して悪くない。問題は、現20代男女にとって、「親が最後の砦」「親しか頼れない」状況になっている ことだ。背後にあるのは、「どうせ国も会社も、自分を守ってはくれない」「どうせ日本は、こんなもの」といった、国や会社への諦めにも似た思いだ。だからこそ彼らは、親や友達といつでもゆるくつながっていないと安心できない。

「信用できる大人って、結局は親だけ」の声も多い。 同時に、彼らの「恋愛」という言葉に対する概念が、上の世代と大きく違うことも分かった。それを象徴するのが、一部が比較的涼しい顔で「あ、いますよ」と口にした、「セフレ(セックスフレンド)」の存在 だ。

90年代半ば~00年代の恋愛レボリューション、そして昨今の若者の「恋愛スルー」は、日本の「失われた20 年」とも深くリンクする。経済だけでなく恋愛でも「時代の節目」という波に翻弄された若者たちは、しかし、迷走しながらも少しずつ前を向いて歩き始めた。

その一例が、彼らの先輩・既婚男女が選択し始めた「年の差婚」「同棲婚(事実婚)」ほか、さまざまな結婚のカタチ。

従来型の恋愛結婚は、もはや賞味期限が切れた。ただ、それに代わる新たなコスパ婚は、むしろ今後有望だ。

日本の未来について、ほんの少しでも前向きな気持ちが皆さんの胸にふわっと芽生えてくだされば、このうえなくうれしい。

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