太るホルモンと太る酵素を活性化して健康的な体型になる食生活

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太りたいけど太れない…そんなお悩みをお持ちの方は意外に多いと思います。

特に20代の女性では20%超、30代女性でも15%以上がやせすぎという調査結果が厚生労働省から発表されていますので、やせすぎでお悩みの方は若い女性に多く見られると思われます。

やせの者(BMI<18.5 kg/m2)の割合(20 歳以上、性・年齢階級別)

BMI値18.5kg/の割合(20歳以上、男女、年齢別)

参考:平成27年度国民健康調査

 

やせすぎの人でも、からだの中に太るための潜在能力がある

やせすぎの方の特徴として、「食が細い」「すぐおなかがいっぱいになってしまう」「運動が苦手」などがあり、また自分の容姿に対するコンプレックスからあまり外出しないため、身体活動量が低下して筋力が弱くなるという傾向も見受けられるようです。でも、そんなやせすぎにお悩みの方でも、実はからだの中には太るための潜在能力が秘められているのです。

1990年代に相次いで発見されたふたつのホルモンがあります。ひとつは1994年にマウスから発見された食欲抑制ホルモン・レプチンです。レプチンは全身の肥満細胞から分泌されるペプチドホルモンで、ギリシア語の「やせる」を意味する言葉を語源としています。その名の通り、レプチンは体脂肪の量を脳へ伝えて食欲を抑制する因子として働きます。

もうひとつのホルモンは1999年に日本の研究者によって発見されたグレリンです。グレリンは胃にある内分泌細胞によって産生されますが、この細胞の働きはグレリンが発見されるまで不明でした。グレリンは胃のほかに腸管や膵臓などでごくわずかな量が分泌されますが、大半は胃によってつくられています。

痩せすぎから鍛えて普通の体系、健康的になってきた

太りたい人にとってグレリンは非常に重要なホルモン

私たちの食欲や摂食行動は、脳にある視床下部と末梢の組織によって分泌される、さまざまな生理活性物質によってコントロールされています。グレリンもそのひとつで、食欲や体重の増加、消化管の運動機能調節などのほか、成長ホルモンの分泌を促進する生理活性物質として発見されたペプチドホルモンです。

成長ホルモンは「成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)」によって分泌が促進されますが、1970年代にGHRH以外の謎の化合物が成長ホルモンの分泌を促進することが発見されました。そして、1999年に国立循環器センターの研究者らがこの謎の化合物の受容体を研究することにより、成長ホルモン促進タンパク質としてグレリンが同定されました。グレリンとは”成長”と”放出”という意味を持つふたつの言葉を合わせた造語です。

グレリンを産生する細胞は胃の胴体部分に相当し、上下にある消化管と接していない「胃体部」に集中しています。この分泌細胞は1960年代からその存在が知られていましたが、いったい何を分泌しているのかは長らく不明でした。グレリン産生細胞は胃体部において2番目に多い内分泌性の細胞です。

胃の各部の名称

参考:東御市民病院

 

グレリンは成長ホルモンを促進する化合物として発見されましたが、食欲を増進させる作用については成長ホルモンの分泌と直接の関連はないようです。マウスなどの実験動物にグレリンを投与すると摂食行動が亢進して体重が増加しますが、この作用は脳への投与と抹消への投与のどちらでも現れます。

脳の視床下部にはほかにも摂食行動を活発にさせるたんぱく質やホルモンがありますが、それらの物質は脳内でのみ働き、末梢では摂食行動の促進作用を示すことはありません。これらの摂食促進物質の中で、グレリンだけが静脈や腹腔内など末梢への投与で食欲を増進させるシグナルとして働くのです。

太りたい人にとってグレリンは非常に重要なホルモンであり、グレリンの分泌を増やし、活性化することが太るための一助となることは間違いありません。このことはグレリンが拒食症の治療薬として研究されていることからも明らかです。

グレリンの主たる生理作用としての可能性。

参考:日本医学会

 

グレリンは胃が空のときたくさん分泌されますが、食べ物が胃に入ってくると分泌量が減ります。また、食後に血糖値が上昇することでもグレリンの分泌は減少します。太りやすい人は食後もグレリンの分泌量が減らず、血液中のグレリン濃度が高いままなので食欲がなくならず食べ続けることができるのです。また、グレリンは睡眠不足のときにも分泌量が増加するそうで、「夜更かしは肥満のもと」といわれるのはグレリンの働きによるものかもしれません。

さらに太るための漢方の六君子湯

古くから食欲不振に用いられてきた漢方の六君子湯にはグレリンを増加させる働きがあることが知られています。そもそも漢方とは中国医学をベースに日本独自の発展を遂げた伝統医療で、六君子湯も今から数百年前に日本で確立された処方です。

六君子湯は古くから、胃の痛み、食欲不振、膨満感などに用いられてきましたが、現代西洋医学の内科医たちは胃の運動機能を改善することによる薬理作用を期待して投与することが多いようです。しかし、六君子湯の食欲改善作用は胃の運動機能亢進によるものだけではありません。

シスプラチンの副作用は食欲不振

1970年代後半に登場した抗がん剤「シスプラチン」は幅広いがんに効果をあらわし、それまでのがん治療を一変させました。しかし、効果が高い反面副作用も多く、特に多くの患者は嘔吐中枢に作用して嘔吐や悪心が繰り返される、という副作用に悩まされます。現在ではこの副作用に対して制吐剤が開発されており、シスプラチンと併用することで嘔吐や悪心は大幅に軽減されています。

しかし、シスプラチンの副作用には食欲不振もあり、これは制吐剤では解消されません。シスプラチン投与による食欲不振から摂食量が減ってしまい、体力の低下や体重減少を引き起こし、結果的に患者の回復に悪影響が及ぼされます。

アメリカの国立がん研究所は、抗がん剤の副作用による症状の程度を5段階に分類していますが、群馬県内の大学病院で、この指標を用いた六君子湯の食欲改善機能に関する試験が行われました。

Grade1 食習慣の変化を伴わない食欲低下
Grade2 顕著な体重減少や栄養失調を伴わない摂食量の変化;経口栄養剤による補充を要する
Grade3 顕著な体重減少または栄養失調を伴う(例: カロリーや水分の経口摂取が不十分); 静脈内輸液/経管栄養/TPN を要する
Grade4 生命を脅かす
Grade5 死亡

参考:大阪医大

 

シスプラチンの投与による治療を受けている患者を2群に分け、かつ期間を区切って六君子湯を併用した場合と、併用しない場合とで比較を行いました。その結果、六君子湯投与期間中の平均食欲不振グレードは1.2、非投与期間中は2.2となり、六君子湯投与によってシスプラチンの副作用である食欲不振が抑えられたことが確認されました。

一方、この試験とは別に、埼玉医科大学では腹部症状や慢性疾患を持たない健康な成人21人に対して、六君子湯の投与が摂食に関するペプチドホルモンの分泌にどのような影響を与えるか、評価試験を行いました。この試験では、食欲を増進させるグレリンと、グレリンの分泌を抑制すると考えられるガストリン、食欲を抑制するコレシストキニン(CCK)などの血中濃度の変化を調べました。

六君子湯はグレリンの分泌を促し食欲を増進させる作用がある

その結果、六君子湯を1週間投与した後では、グレリンの血中濃度は上昇し、CCKの濃度は低下しました。ガストリンの濃度には変化が見られませんでした。この試験結果は、六君子湯はグレリンの分泌を促すとともにCCKを抑制し、食欲を増進させる作用があることを示唆しています。

六君子湯はアンチエイジング効果の可能性もある

また、グレリンは長寿遺伝子と呼ばれるサーチュインを活性化させることも知られており、六君子湯は食欲の改善だけでなく、アンチエイジングにも効果がある可能性を秘めています。サーチュイン遺伝子が活性化するとDNAに作用して寿命を延ばす効果があると考えられていますが、アンチエイジング以外にも動脈硬化や心不全、2型糖尿病などの生活習慣病にも効果があるといわれています。

六君子湯には重い副作用はありませんが、処方に甘草を含んでいるため、その他の漢方や医薬品との併用は甘草による偽アルドステロン症を引き起こす可能性があります。薬の使用で血圧の上昇、むくみ、疲労感などが表れた場合にはただちに服用を中止し、医師や医療機関を受診しましょう。

太りにくい人は消化吸収能力が低下している

グレリンの分泌を促して食欲が出てきたら、今度は食べた物をきちんと消化して吸収するための準備が必要です。太りにくい人の場合、消化吸収の能力が低下していることもあるので、食品や医薬品から消化酵素を補ってやるのもひとつの方法です。

食品や医薬品から消化酵素を補う

  • 代表的な消化酵素には、
  • 糖質を分解するアミラーゼ、マルターゼ、スクラーゼ
  • 脂肪を分解するリパーゼ
  • たんぱく質を分解するプロテアーゼ

があります。

また、牛乳に含まれる乳糖を分解するラクターゼや、植物の繊維質を分解するセルラーゼなどもあります。

おもな消化酵素

参考:看護roo

消化酵素は細かく砕かれた食べ物をさらに小さな分子まで分解する働きがある

酵素とは生体内で起こる化学反応を触媒して促進させる働きのある化合物です。消化酵素もそのひとつで、咀嚼や胃によって細かく砕かれた食べ物をさらに小さな分子まで分解する働きがあります。

食べ物から得られる栄養素は、血液によって全身に運ばれなければなりませんから、小腸の組織を通り抜け、血管へと移動できるくらい小さな分子まで分解しなければなりません。ちなみにアミノ酸のサイズは0.8nm(ナノメートル)程度ですが、ナノメートルとは10億分の1メートルで、1nm=0.001μm=0.000001mmというとんでもなく小さなサイズです。

分子サイズにまで分解された栄養素から私たちの肉体や組織が合成されたり、エネルギーのもととなる物質ATPが作られたりしているのです。食べ物を分解する作用を異化作用、別の物質を合成する作用を同化作用といいます。

異化作用と同化作用

参考:看護roo

消化酵素は化学的な消化を担っている

私たちが食べたもののうち、糖質(炭水化物)はブドウ糖に分解されてエネルギーとして消費され、余ったブドウ糖はグリコーゲンや脂肪に変えて体内に蓄えられます。脂質は細胞膜やホルモンの材料となります。

たんぱく質はアミノ酸まで分解された後、再合成されて皮膚や髪の毛などの体組織や赤血球、免疫反応物質(抗体)、ホルモン、酵素などさまざまな原料となるとても重要な栄養素です。

栄養素を体内で利用するためには食べ物をナノサイズまで小さくする必要があり、そのためには咀嚼や胃での物理的な消化を経て、さらに小さな分子へと分解する化学的消化が必要です。そして、化学的な消化を担っているのが消化酵素の働きです。

脂質には油脂や脂溶性ビタミン、食品中のコレステロール、リン脂質などがありますが、私たちが摂取する油脂といえば、そのほとんどが中性脂肪(トリアシルグリセロール)です。中性脂肪はグリセリンに脂肪酸が結合した物質で、消化酵素のリパーゼによってグリセリンと脂肪酸に分解されます。

食べた脂質は「モノグリセリド」と「脂肪酸」に分けられる

参考:ライフミール

体内で合成できない脂肪酸が必須脂肪酸

分解された後グリセリンはエネルギーの燃焼にかかわり、脂肪酸はいったん別の化合物となった後、エネルギーとして燃焼されたり、再び脂肪酸に合成されたりします。脂肪酸には多くの種類がありますが、中には私たちの体内で合成できない脂肪酸があり、これらの脂肪酸を必須脂肪酸と呼びます。

脂肪酸は炭素、水素、酸素、三つの原子の組み合わせからなり、その配列や炭素の数により種類が異なります。脂肪酸の中で炭素と二重に結合している部分を持つものを不飽和脂肪酸、二重結合を持たないものを飽和脂肪酸と呼びます。中でも、3番目の炭素に二重結合を持つn-3系(オメガ3)脂肪酸、6番目に二重結合を持つn-6系(オメガ6)脂肪酸が必須脂肪酸とされています。

不飽和脂肪酸のうち、二重結合が1つしかないものを一価不飽和脂肪酸、二重結合が2つ以上あるものを多価不飽和脂肪酸といいます。

参考:脂質と脂肪酸のはなし 消費者庁

 

オメガ3脂肪酸は不足しがち

必須脂肪酸のうち、特にn-3系(オメガ3)脂肪酸は不足しがちな脂肪酸で、食事から十分に摂ることが推奨されています。n-3系脂肪酸にはEPA、DHA、α-リノレン酸があり、これらを多く含む食品は亜麻仁油、えごま油、サバやイワシなどの青魚です。

飽和脂肪酸も不飽和脂肪酸もカロリー量はほぼ同じで、1gあたり約9kcalです。太りたい方は必須脂肪酸、特にn-3系脂肪酸を積極的に摂りましょう。

糖質と脂質を分解する消化酵素にはいろいろな種類がありますが、どの酵素も大きな分子のつながりを切断して細かくするハサミのような働きをします。切断する分子の種類によってそれぞれ別の酵素が作用します。

太りにくい方の中には消化酵素の分泌量が少なかったり、活性が低いなど酵素の働きが弱い場合があります。特に脂肪分や繊維の多い食べ物の場合は消化しにくく、消化不良の原因となることがあります。大根にはアミラーゼを始め、プロテアーゼ、リパーゼなど各種の栄養素を分解する消化酵素が豊富に含まれています。

また、パイナップルやキウイにはたんぱく質分解酵素が含まれているので、肉類と一緒に摂るといいでしょう。キウイは緑色の濃いキウイに消化酵素が多いといわれています。酵素は熱によって壊れたり活性を失ったりするので、大根なら大根おろしで、キウイやパイナップルは生のままいただきましょう。

食後にげっぷや胸やけがしたり、膨満感や胃痛などがある方は消化不良の可能性があります。このように消化酵素の働きの弱い方は各種の消化酵素を配合した市販の胃腸薬や漢方薬を利用するのもいいでしょう。漢方では六君子湯や四君子湯のほかにも、補中益気湯、安中散、半夏瀉心湯などがありますので、自分の体質や症状にあったものを選びましょう。漢方薬を利用する場合は漢方専門の薬局に相談するのがお勧めです。

まとめ

痩せていてなかなか太れない人でも、体の中には太るためのホルモンや酵素が備わっており、これら本来の機能を活性化すれば、必ず健康的な体型になることができます。あなたのからだはあなたの食べたものからできています。食生活も含めた生活全般を見直すことから始めてみましょう。

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