ソイプロテインは、ミルクプロテインと同様のパフォーマンスを発揮

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筋トレに欠かせないプロテインは、大きく分けて、牛乳を原料にしたミルクプロテイン(ホエイプロテイン、カゼインプロテイン)と、大豆を原料とするソイプロテインがあります。

ミルクプロテインには乳糖が含まれるので、牛乳を飲むとおなかがゴロゴロする方、乳製品が苦手な方にはソイプロテインがおすすめです。

本格的なマッスルビルダーはミルクプロテイン、特にホエイプロテインを好まれる方が多いようですが、実はミルクプロテインにはミルクプロテインの、ソイプロテインにはソイプロテインならではの長所があるのです。

ここでは、細マッチョを目指す方やダイエッター、ウエイトコントロールが必要な競技をされる方にお勧めの、ソイプロテインの効果についてご紹介します。

ソイプロテインのタンパク質含有量

ソイプロテインの原料である大豆のタンパク質含有量は30~40%程度です。

一方、ソイプロテインはタンパク質の含有量を80~90%に高めている製品がほとんどで、タンパク質含有量の比較なら、ミルクプロテインにも引けを取りません。

 

また、1973年のアミノ酸スコアの評価で大豆は86点でしたが、1985年にアミノ酸の基準が見直され、現在のアミノ酸スコアは100に修正されています。

これは1973年当時のアミノ酸評価が人ではなくラットで行われ、ラットは体毛に必要な含硫アミノ酸の要求がヒトよりも多く、大豆のアミノ酸バランスが低く評価されたためです。

ダイズのアミノ酸スコア。

参考:Wikipedia

 

このように、たんぱく質の質、量ともにミルクプロテインに引けを取らないソイプロテインですが、トレーニングによる筋肥大を考えた場合、弱点がないわけではありません。

分岐鎖アミノ酸BCAAに分類されるロイシンの含有量と吸収スピードが弱点

ロイシンの代謝物である3-ヒドロキシイソ吉草酸(HMB)はタンパク質の分解を抑制し、合成を促進しますが、もともとロイシン含有量の高いミルクプロテインは吸収速度の面でもソイプロテインに比べて優秀です。

ミルクプロテインのタンパク質が摂取後速やかに吸収されるのに対し、ソイプロテインは数時間かけてゆっくりと吸収されるため、運動直後の筋分解抑制効果に劣ります。

しかし、最近の商品はソイプロテインの短所を補うべく、ロイシンを添加しているものもあります。

こうした改良が加えられたソイプロテインは、ミルクプロテインと同様のパフォーマンスを持ちながら、さらに大豆本来の健康効果も期待できるのです。

世界一の長寿国である日本の食卓を支えてきた大豆

日本人の食生活に欠かせない大豆は、味噌、醤油をはじめ納豆、豆腐、きなこなどヘルシーな食品の代表格です。

ビールとの相性ばつぐんの枝豆は大豆を青いうちに収穫したもので、もやしは大豆を暗いところで発芽させたものです。

元来肉食の習慣がなく、米飯中心の日本では重要なたんぱく質の供給源として「畑の肉」の例え通り重宝されてきました。

大豆の持つ多様な健康効果にも注目が集まっています

1990年代、がん死の急増が社会問題化したアメリカで、米国立がん研究所が野菜や果物などに含まれる化合物「フィトケミカル」を利用してがん予防に役立てようと推進した「デザイナーフーズ計画」。

この計画の中で、がん予防効果の可能性を持つ野菜・果物約40種類が選定されました。

これらの植物のうち、もっとも効果が高いと予想されたのが「にんにく」で、次点に選ばれたのが大豆、キャベツ、リコリス(甘草)、ショウガ、ニンジン・セロリなどです。

大豆に含まれるポリフェノール「イソフラボン」には、多くの研究でがん細胞の増殖を抑える効果が報告されています。

最新の栄養学でも大豆は注目されています。

参考:グリコ

大豆には、イソフラボンのほかにも、レシチン、オリゴ糖、サポニン、食物繊維など多くの機能性成分が含まれています。

イソフラボンは女性ホルモンのエストロゲンに分子構造が似ているため、人の体内で女性ホルモン様の働きをするといわれています。

しかし、大豆に含まれるイソフラボンは糖分子と結合しているため、そのままでは吸収されません。腸内細菌によって糖がはずれた「アグリコン型」になって初めてエストロゲン様の作用をするのです。

分子の大きいグリコシド型イソフラボンと、分子が小さく体への吸収力が優れているアグリコン型イソフラボンの2種類があります。

参考:イソフラボン倶楽部

 

スーパーイソフラボンは高いエストロゲン活性を持っています

大豆に含まれるイソフラボンには主に「ダイゼイン」「ゲニステイン」「グリシテイン」の3種類がありますが、どれも同じようにエストロゲン活性を持つわけではありません。

ゲニステイン以外はエストロゲン作用がほとんどないか、弱い作用しか持ちません。

しかし、腸内細菌によってダイゼインが代謝されたエクオールは「スーパーイソフラボン」といわれるほど高いエストロゲン活性を持っています。

スーパーイソフラボンの構造図。

 

 

エクオールを作る腸内細菌は欧米人は4人に一人、日本人では二人に一人といわれています

この差は大豆の食経験によるものと考えられており、大豆をあまり食べない最近の日本人はエクオール産生菌を持たない人が多く、その割合は欧米人並みに低下しているともいわれています。

一方、イソフラボンには、男性ホルモン・アンドロゲンの一種であるDHEA(デヒドロエピアンドロステロン)の分泌を促進する作用があることも知られています。

デヒドロエピアンドロステロン
デヒドロエピアンドロステロンとは、副腎や性腺で産生される男性ホルモンの一種である。 アンドロゲン活性としてはテストステロンの約5%である。 成人女性においては、アンドロステンジオンとともに主要なアンドロゲンとして重要である。Wikipedia

DHEAはテストステロンやエストロゲンの前駆体であるとともに、筋肉や骨を増強し、免疫力をアップする「若返りホルモン」とも呼ばれています。

コルチゾールホルモンの作用

腎臓の上部にある副腎は先述のアンドロゲンを始め、いくつかのホルモンを産生していますが、そのひとつにコルチゾールというホルモンがあります。

コルチゾールは脂質、糖質、たんぱく質の代謝に欠かせない人体に必須のホルモンですが、過剰に分泌されると生体に悪影響を及ぼします。

コルチゾールはストレスを受けると産生量が増え、血圧や血糖値を上げたり、免疫力を低下させるなどの症状をもたらします。

近年の研究では極度のストレスを受けると、多量のコルチゾールが分泌されて脳の海馬を委縮させることが明らかにされています。

DHEAとコルチゾールは、どちらもコレステロールを原料にして作られますが、大豆に含まれるイソフラボンはコルチゾールの産生を抑制し、DHEAの産生を促進すると考えられています。

コルチゾールとDHEAは、いずれもコレステロールから生成されます。

DHEAのサプリメントはドーピングとみなされる

アメリカではDHEAのサプリメントが販売されており、主に筋肉増強の目的で使用されていますが、競技におけるDHEAの使用はドーピングとみなされるので注意が必要です。

イソフラボンの属するフラボノイド系ポリフェノールには、ほかにお茶のカテキン、赤ワインのアントシアニジンなどがあります。

いずれも強力な抗酸化作用を示し、抗がん作用、抗肥満、血流改善、アンチエイジングなどの効果があることが知られています。

ポリフェノールの生体調節機能とは

ポリフェノール(多価フェノール)とは,同一分子内に2個以上のフェノール性水酸基(ベンゼン環,ナフタリン環などの芳香族環に結合した水酸基)をもつ化合物の総称であり、以下に示すような多くの種類のポリフェノールが主として植物界に広く分布しています。今回の参考資料は,代表的なポリフェノールであるフラボノイド系化合物の構造ならびに生体調節機能に関するものです。JFRL ニュース

 
ポリフェノールの基本構造。
 

大豆の持つ健康成分レシチンは細胞膜を構成する主要成分のひとつ

この主要成分を別名をホスファチジルコリンといいます。ふたつの脂肪酸とグリセリン、リン酸、コリンが結合した、水にも油にもなじむ「両親媒性」という性質を持つリン脂質です。

水にも油にもなじむので、水と油を混ぜてクリーム状にする乳化剤としてマーガリンやアイスクリーム、チョコレートなどにも使用されます。

人の体内には体重1kgあたり10g存在しているといわれ、細胞膜だけでなく神経伝達物質としても働いています。不足すると不眠や免疫力の低下、糖尿病、動脈硬化の原因になることが知られています。

レシチンは、抑制系の副交感神経に働きかける神経伝達物質アセチルコリンの一部として機能していますが、脳内では集中力や注意力などに欠かせない物質であり、認知症患者の脳内ではアセチルコリンの減少が見られます。

また、アセチルコリンは脳など中枢神経系だけでなく、末梢の運動神経と筋肉繊維との接合部「神経筋接合部」でも重要な働きをしています。

末梢にある運動神経の終端部シナプスからアセチルコリンが放出され、筋肉細胞の受容体に結合することで細胞内外に電位差が生じ、筋肉の収縮が起こるのです。

神経筋接合部の模式図。

参考:脳科学辞典

 

 レシチンが不足すると脳と体のバランスが崩れ、不眠や不安、イライラなどの原因となります

それだけでなく、脳と体の連携がうまくとれず、運動パフォーマンスの低下も招いてしまいます。レシチンはトレーニング時の体の動き、集中力ややる気を維持するためにも重要な栄養素といえるでしょう。

また、血液中のリポタンパクとコレステロールを結合させるのもレシチンの役目で、レシチンがしっかり働かないと血液中の余分なコレステロールをうまく回収できません。

レシチンをしっかり摂ることで、からだの中の余分なコレステロールを回収し、排出することができるのです。

レシチンには、

  • LDLコレステロールを下げる
  • 集中力アップ
  • 新陳代謝の促進
  • 血管の健康を保つ

など、有用な働きがあり、トレーニングを行う上でも不可欠な栄養素です。ソイプロテインを摂ることにより、イソフラボンとの相乗効果も期待できます。

ウエイトダウンに適し、健康効果も高いソイプロテインはおいしくない

さて、筋肥大という点以外においてはミルクプロテインよりもウエイトダウンに適しており、健康効果も高いソイプロテインですが、ひとつだけ大きな弱点があります。それは「おいしくない」こと。

基本的には大豆を粉砕し、パウダー状にした食品ですので、無添加タイプなら味は大豆そのものです。

イチゴやチョコレートなどの味をつけている商品もありますが、そういった商品には砂糖が添加されていることが多く、ダイエットやウエイトの維持目的には不向きといえるでしょう。

水に溶けにくく、そのままではおいしくないソイプロテイン。

長く続けて正しく効果を得るためにはおいしく飲む工夫が必要です。それでは、ソイプロテインをおいしく飲むコツをご紹介しましょう。

1.ミキサーを使う

かつてはミルクプロテインも含めて、一般的にプロテインは溶けにくく、粉っぽいものでしたが、加工技術の進歩により、今では格段に溶けやすく粉っぽさも薄れてきました。

しかし、ソイプロテインはミルクプロテインに比べると、今でも溶けにくいものが多く若干の粉っぽさも残ります。

プロテインは専用のシェイカーを使用して飲むことが多いのですが、ソイプロテインはシェイカーの底に溶け残りがこびりついたり、ざらついた食感が残ります。

そこで、家庭用のミキサーを使用してよく溶かして飲むことがソイプロテインをおいしく飲む最初のポイントとなります。

2.フルーツを入れる

ソイプロテインをバナナやメロン、イチゴなどのフルーツと一緒にミキサーにかけるとおいしく頂けます。

また、オリゴ糖やはちみつ、氷と一緒にミキサーにかけるとスムージーのようにさっぱりとおいしく飲むことができます。あらかじめ溶かしたプロテインを冷凍庫で凍らせてから、お好みのフルーツやはちみつなどと一緒に、ミキサーにかけてもいいでしょう。

3.ソイプロテインと混ぜる

牛乳に含まれる乳糖(ラクトース)は小腸にある乳糖分解酵素(ラクターゼ)によって分解されますが、実は、ラクターゼは赤ちゃんのころにしか働いていません。

多くの人は成長するにつれてラクターゼの活性が低下してしまいます。

その代わり、牛乳を飲み続けることで乳糖を栄養素とする腸内細菌が増えるので、おなかがゴロゴロしなくなるのです。

ソイプロテインとホエイプロテインを混ぜて飲む

牛乳や乳製品に耐性のある方は、ソイプロテインと溶けやすいホエイプロテインを混ぜて飲んでみるのもいいでしょう。

実際、日本国内で有名なザバスにはホエイとソイの混合プロテインがラインアップされています。

飲みやすいだけでなく、瞬発力のある速筋(白筋)を肥大させるのに効果的なホエイプロテインと、長時間、筋力を発揮し続ける遅筋(赤筋)に有効なソイプロテインの両方の長所を取り入れることが可能となります。

自分で混ぜる場合は、ホエイプロテインとソイプロテインのバランスを変えながら、自分に最適な混合比を発見できればより効果的です。

ホエイプロテイン&大豆プロテイン+BCAA強化プロテイン。

まとめ

 

最後に、意外や意外、大豆は筋トレに逆効果、とする話題をご紹介しましょう。

これはネット上ではコネチカット大学による研究結果であるとされていますが、おそらく出典はこちらのレポートと思われます。

American College of Nutrition

 

20歳前後の男性10名を3群に分け、2週間の高負荷レジスタンス運動に加え、乳清たんぱく、大豆たんぱく、プラセボのいずれかを与えて、性ホルモンへの影響を調べたもので、もともと、大豆イソフラボンが女性ホルモンのエストロゲン作用を持つところから、性ホルモンへの影響を検証しようとした実験です。

結論としては、大豆たんぱく摂取群に血中テストステロンの低下がみられたこと、乳清たんぱく摂取群に筋トレ後のコルチゾールの抑制がみられた、と報告しています。

しかし、この実験による考察はこの限りであり、それ以外の事柄を何ら示唆していません。

しかも、この実験はわずか10名の被験者であり、さらに3群に分けられたとのことですので、1群の被験者はたった3名に過ぎず、この結果を持って何かしらの知見を得ることは困難です。

たとえば、血液中のテストステロンに減少がみられたとして、それがどの程度で、どのような影響を及ぼすかもわかりません。

 

大豆たんぱくの有用性については多くの報告があり、テキサス大学医学部による研究は、乳清たんぱくと大豆たんぱくを混合することで、乳清単体よりもアミノ酸を長時間に渡って筋肉に供給する、と報告しています。

American Physiological Society

 

一般的にテストステロンは筋肥大に有利に働きますが、テストステロンが男性の5%~10%しかない女性でも、男性と同じ負荷でトレーニングを行えば、男性同様マッチョになることができますし、大豆たんぱくについても含有量を90%近くまで引き上げたプロテインであれば、ロイシンの含有量以外でミルクプロテインに劣る点はありません。

なにより、ウエイトダウンしながら引き締まった筋肉を手に入れるにはソイプロテインがベストであることに間違いはありません。

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